- 2011-03-18 (金) 16:28
- 用語(破産法)
租税等の請求権としていろいろあるけれど、どんなのが破産債権になって、どんなのが財団債権になるかということについては、当然ながら間違えてはいけないところです。
破産債権と財団債権とでは、債権者の立場からいうと、圧倒的に扱い(弁済の方法など)が異なるからです。
●財団債権
租税等の請求権のうち、財団債権となるものは、次の3種類。
(1) 破産手続開始「前」の原因により発生した租税等の請求権で、手続開始当時において次のもの
・納期限が未到来
・納期限から1年を経過していない
(2) 破産手続開始「後」の原因により発生した租税等の請求権で、財産の管理、換価及び配当に関する費用に該当するもの
(3) (1)および(2)(=財団債権である租税等)の請求権の延滞税
(破産手続開始決定「前」に発生すると「後」に発生するとを問わない)
●優先的破産債権
租税等の請求権であり、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じたものは、個別の規定により「財団債権」又は「劣後的破産債権」とされるものを除くほかは、すべて優先的破産債権となる。
具体的には次のものが該当する。
(1) 破産手続開始「前」の原因に基づいて生じた租税等の請求権であって、破産手続開始時、納期限から1年を経過したもの。
(2) (1)に関する延滞税等のうち、破産手続開始前に発生するもの。
●劣後的破産債権
租税等の請求権の中で、劣後的破産債権となるものは次のものが該当する。
(1) 破産手続開始「後」の延滞税等で、本税が破産債権であるもの。
・・・本税の性質が破産債権であり、延滞時期が破産手続開始「後」であるもの。
(2) 破産手続開始「後」の原因に基づいて発生した租税等の請求権のうち、破産財団の管理、換価及び配当に関する費用に該当しないもの
・・・破産法148条1項2号の反対解釈。
(実例としては以下のようなもの)
・破産財団から放棄した後の建物が売却された場合の消費税
・破産財団から放棄した年の翌年以降の破産法人所有不動産に対する固定資産税
(3) 加算税等(無申告加算税・不納付加算税・重加算税など)
・・・発生時期を問わず(破産手続開始「前」「後」を問わず)、すべて劣後的破産債権となる。
破産債権は、優先順位の高い順に、
・優先的破産債権
・一般的破産債権
・劣後的破産債権
・約定劣後破産債権
に分けられています。
で、それぞれの上位債権について全額の配当がなされないと、次順位の破産債権への配当はされません。
劣後的破産債権への配当は、私の見聞きしたケースに限って言うと、なかなか行われていないようです。
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