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勤務弁護士の経理 Archive

勤務弁護士への支給(給与?業務委託費?)

質問を賜りました。

個人の法律事務所で事務をしています。
この度、勤務弁護士が入所することになりました。
この方の給与形態は、雇用契約として給与を支払うのではなく、委任契約のようにして毎月報酬25万円支払うというものです。(そのように行うというボスの意向です)

そこで、質問です。

Q1.
この場合、この方への毎月の支払額は、25万円から10%の源泉徴収をした22万5000円のみでよいのでしょうか。社会保険料は給与ではないので発生しないということでよいのでしょうか。また、労働保険も同様に考えてよいのでしょうか。

Q2.
また、勤務弁護士が名義で受けた法律相談や国選などの報酬は、事務所の売上として構わないのでしょうか。この場合、勤務弁護士が支払う弁護士会への負担金はどのようにすればよいのでしょうか。

Q3.
ゆくゆくはこの勤務弁護士が個人事件を受けることを認めるようですが、その際の報酬については、何%かを事務所に入れてもらうようなのです。この場合の経理は、入れてもらった分を「売上」で処理すればよいのでしょうか。


まず前置きとして、
このような形態(雇用形態ではなく、委任契約というか外注のような形)での勤務弁護士というのは、弁護士業界においては現実に存在はしますが、対税務署的にはリスクがある、ということは理解しておいたほうがいいでしょう。

仮に税務調査が入った場合には、税務署のほうからは
「この勤務弁護士って、実際の業務は所長の指示命令系統に従い動くんではないですか?
執務机も自前の用意ではなく、事務所からの支給ではないですか?
もし現実の形態がそうなら、これは業務請負契約ではなく雇用契約なので、支払うボスとしては給与の支払として扱うべきですし、勤務弁護士の方の収入は、給与所得になります」
という旨の指摘を受けることが想定されます。

それでも、ボスとしては
「いやこれは給与ではないんだ。一種の事務所内外注なんだ。つまりイソ弁ではなくノキ弁のようなものなんだ。だから普通の外注と同様、10%源泉ということにしているんだ」
という旨を主張することになるのでしょうかね。

理由はおそらく、
・社会保険料の負担を避けるため
・消費税の節税のため
というのが主なところでしょう。

まぁそういうチョイスをするということはボスの責任でやることですので、事務局としてどうこういうところではないのですが・・・。


で、そういう前置きはさておき、
ボスの意向に沿う(沿わざるを得ない)という前提で、今回の質問についての回答は以下のとおりです。

A1.
毎月の支払は、10%源泉して払うということになるでしょう。
支払科目としては、給料ではなく「外注費」や「業務委託費」になります。
社会保険料・雇用保険料は発生しません。

A2.
これはボスと勤務弁護士との取決め(入所時の合意内容)次第です。

実際、勤務弁護士の法律相談や国選の収入を、事務所に入れさせているところは数多くあります。
その場合、裁判所や弁護士会からの支払調書というのは勤務弁護士宛となるのが通常ですので、その表記内容と収入の帰属は違うことになります。その旨は理解しておかねばなりません。

また、その場合の負担金ですが、収入が事務所帰属とするなら、当然の如く負担金も事務所から支出することになるでしょう。
これも、弁護士会からの負担金領収書は勤務弁護士宛となるでしょうから、表記内容と支出負担者が異なることになります。

もし、「収入は事務所に帰属、負担は勤務弁護士が負担、というようにする」とボスと勤務弁護士とで取決めにしているのであれば、そう処理することになります(鬼のような扱いですが)

A3.
その理解で構いません。
事務所としては売上になります。(それ以外のやりようが無いという感じです)


:::

今回の質問は、現実的に存在するとはいえ、税務会計的にはイレギュラーなケースなので、
税務署に聞いても、経理の本を読んでも、弁護士会作成の資料などを見ても、なかなかコレという回答に巡り合わないかもしれません。


私がそのような旨の質問を、もし、ボス弁の立場の人から受けたら、

・雇用契約ではなく業務委託でいくんだったら、毎月、勤務弁護士からボス弁宛に請求書を出させるべき。
(内容は、業務受託料25万・源泉2万5000・差引請求22万5000)
・勤務弁護士は事業所得の収入になるので、確定申告をさせること。
(そうしないとこちらの処理との整合性がとれない)
・以上をしたからといって、業務委託費としての扱いが認められるという保証はないので、その点は了解しといてね。
(やらないよりはマシだろうというレベル)

という回答をします。その上で、

・実際のところの勤務形態はどうなってるの? 執務時間とか、什器備品の使用ルールとか、事務局の使い方とか。
・それが雇用契約のパターンとは違う、というのなら、業務委託費としてもまぁOKでしょう。
・それが事務局とあまり変わらないのなら、悪いことは言わないから雇用契約にしときましょう。

とアドバイスします。
(どうしても税務調査が行われるとしたケースを想定してしまうので、致し方ないところですねー)

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領収書の宛名はどうする?

例えば「甲山乙男先生」の「甲山乙男弁護士事務所」の場合、領収書の宛名については、
 ・甲山乙男弁護士事務所(様)
 ・甲山(様)
というのが一般的でしょうが、別にこのとおりじゃないとダメというわけではなく、
 ・上(様)
でも問題はありません。
ぶっちゃけ、未記名でも、支出の事実が間違いないのであれば、構わないと思います。

と断言するのはアレな面もあるのですが、
所得税の必要経費や法人税の損金を認識する上で、「領収書には受取る側の氏名または名称を記載しなければならない」という規定はありません。(所得税法や法人税法においてはその旨は明文化されていません)

ただ、消費税法においてだけは若干様相が異なります。
消費税において経費処理をするため(=仕入税額控除を受けるため)においては、相手から受ける領収書には、こちら側の氏名または名称を記載しなければならないことになっています。(一部例外はありますが)


なので結論としては、「苗字くらいは書いといてもらってくださいな。カタカナでもいいし」ということになります。
がしかし、領収書を貰う際にこちらの名前を明らかにしたくないケースってのも実際はありますから、弾力的に判断したいものです。

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事業的収支と家事的収支が混在する銀行口座

勤務弁護士とか、独立してそれほど年数が経っていない弁護士の経理を見ていてよくあることですが、
一冊の通帳に、事業に関連性のある収支とない収支が混在しているケースがあります。

確定申告をするなら、このような混在はできるだけ避けたほうがいいです。

その理由ですが、まず、実際の事業の収支を確認する上で手間がかかるからです。
(確定申告においては、事業に関連性のある収支だけをピックアップしますので)

また、もし税務調査等があった場合に、場合によっては事業とは関係ないところのカネの流れを説明しなくてはならなかったりと、色々とややこしくなるからです。
(余計な詮索ネタを与えることにもなりかねません)

なぜこのような混在が起こるかということですが、
 ・勤務弁護士としての給与の振込口座を、(独立後も)そのまま使用している
 ・国選報酬の入金口座などを、当初個人の生活費口座に指定していた
というのが理由として想定されます。


ということで、弁護士の経理を行うにあたっては、
 ・早いうちから事業専用の口座を作る。(アソシエイトでもそのほうが望ましい)
 ・弁護士業務に関する収支はその口座に集約させる
 ・弁護士業務と関係ない個人的収支についてはその口座を通さない。
ようにするほうが望ましいですね。

で、もし仮にその事業用口座に家事関連の入出金が行われた場合には、その額を速やかに出入金するのがオススメです。

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