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2013-10

課税売上ゼロの場合の管財人報酬にかかる消費税還付NGの根拠

質問を賜りました。

 会計事務所に勤務している者です。書籍「破産管財の税務と手続」の内容についてその中で一点疑問に思ったところが有ります。

(P.173)
 管財人報酬を支払ったからといって、直ちにそれに係る消費税額が還付になるかというと、必ずしもそうとは言い切れません。
 消費税法上、仕入税額控除の計算については所定の方法がありまして(消費税法第30条)、管財人報酬が確定した課税期間において、何らかの課税売上が生じていなければ、この管財人報酬に係る消費税について、仕入税額控除となる額は算出されないような規定になっているからなのです。
 この規定を適用すようとするならば、管財人報酬額が確定する課税期間に、破産法人として何か課税売上が発生する必要があります。具体的には、棚卸資産の売却とかになるでしょう。
 ただ、資産の売却タイミングを調整できればいいのですが、実際うまくいくかどうかは難しいところです。


 上記において課税売上がないと管財人報酬に係る消費税は還付されないとありますが、管財人報酬が確定した課税期間が課税事業者であれば、課税売上がなく、差引税額がなくても、消費税法第46条により、管財人報酬に係る消費税について任意的還付申告ができるのではないでしょうか。
 お手数をお掛け致しますが、ご回答いただければ幸いです。


 ご質問の件ですが、判断に迷う点であるのは確かです。
 結論を先にいうと、「何らかの課税売上が生じないと、還付税額が発生しない」という理由は、「仕入税額控除額を計算する際、管財人報酬が、個別対応方式においては『共通対応仕入』に属するから」というところにあります。

 控除対象仕入税額は、「全額控除方式」「個別対応方式」「一括比例配分方式」の、いずれかの方法で計算することになりますが、課税売上がゼロの場合には、課税売上割合が(ゼロとなり)95%を超えることはありませんので、「全額控除方式」は適用できません。
 ということで、課税売上割合が95%未満である場合に選択する、「個別対応方式」か「一括比例配分方式」のいずれかで計算することになります。

 ここで、一括比例配分方式で計算するとしますと、課税売上割合がゼロなので、控除対象仕入税額がゼロとして計算されます。

 で、個別対応方式で計算するとしますと、ここで問題になるのが、「管財人報酬が、どの種類の仕入に該当するか?」というところです。つまり、「課税売上対応仕入」「非課税売上対応仕入」「共通対応仕入」のどれに当てはまるの?ということです。
 これについては、管財人報酬は弁護士報酬である以上、基本通達11-2-12にあるように「共通対応仕入」に該当すると判断するのが一般的です。
 実際に、管財人の現実的業務を考えますと、資産の換価で、土地や建物や有価証券を処分したりするわけですから、その業務で発生する消費税法上の取引は、課税売上であったり非課税売上であったりします。つまり管財人報酬は「共通対応仕入」に該当する、と判断するのが賢明です。
 となりますと、個別対応方式での計算においては、共通対応仕入に該当する部分の仕入については、課税売上割合がゼロである場合には、控除対象仕入税額が計算されるしくみにはなっていません(ゼロになる)ので、個別対応方式で計算しても、控除対象仕入税額はゼロ、と判断することになります。

 以上より、「消費税法第46条により、申告書の提出は可能だが、計算をしても、還付税額は出てこない」ということになります。
(何らかの事情により、『この管財人報酬は、課税対応仕入に該当するものだ!』と主張できるのであれば、還付税額が出てくることにはなりますです)

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