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2013-06
最終貸借対照表の負債
質問を賜りました。
知人の弁護士より破産管財税務をこれまで3件請け負いまして、現在新たに2件請け負って申告作業中です。
前3件の清算結了時の貸借対照表は、資産が管財人の普通預金だけで、負債が支払手形、買掛金、借入金などを残したまま申告して終了しています。
で、最初の破産会社の申告時に、負債を益金に振り替えて0にするように処理しようとしたら、弁護士に「負債はそのまま残して申告して欲しい」と言われそのように申告しました。
破産するような会社ですから繰越欠損金額は多額にあり、益金認定されても所得は出ないのですが、どうも腑に落ちません。
ここのところを、実際にはどのように申告しているのかご教授いただけたらと思います。
結論から言うと、負債はそのままにして申告しています。
破産法人の場合、最終的な残余財産確定時というのは、資産のほうは換価が完了し管財人口座に預金残高が残っているだけ、負債のほうは支払手形・買掛金・借入金などが残っている、という状態です。
その際は一般的に、資産<負債です。
管財手続としては、当然ながらその後、負債のほうの関係者(破産法人から見て債権者)に対し、それぞれの債務の種類に応じた弁済順に添って、資産の管財人口座預金残高を、債務額に応じ、按分配分していくことになります。
これがいわゆる破産管財でいう配当手続なのですが、この配当手続の段階に入ったときには、破産法人の課税関係はノーケアで構いません。
破産法人の税務申告をするときは、
・財産の換価の段階で発生する課税関係を認識し、そこをピックアップして申告内容に織り込む
・資産のほうの換価が完了した時点で、真っ赤っ赤のB/Sが出来て、課税関係の認識作業は終了(=残余財産確定事業年度の申告をして、税務申告は終了)
・換価完了の後の配当手続においては、課税関係は無視
と捉えて構わないと思います。
ここでご質問にあるような『負債を益金に振り替えて0にするよう処理』をしますと、これは破産法人側で債務免除益を認識することになります。
実際に、破産手続中に、債権者側から債務免除を受けたのであれば、そのとおりに処理すべきでしょう。(例えば債権者側が早期に貸倒損失を計上するために、書面に拠る債務免除通知を送ってきた場合など)
ですが、これはなかなか稀なケースかと思います。
なので通常は、いくら繰越欠損金が多額にあったとしても、債務を益金に振替ることは無いでしょう。
債務のほうについてはあまり触らずに、資産のほうの動きを注意して課税関係を認識し、換価が完了したら最後の申告をしてハイお疲れ様でした、という流れでいいと思います。
なんといいますか、最後の配当(税務上でいうと残余財産分配のような感覚になります)の時点で、感覚的には債権者から借金の棒引きをしてもらうような感覚になり、「そんじゃー債務免除益を計上しないといけないんじゃね?」と思ったりするのですが、
破産手続の流れを見ると、そこは債務免除でも何でもない、なので負債から益金に振替える必要はない、という感覚で、決算申告へ進んでいけばいいのではないでしょうか。
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