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破産管財人の法定調書作成義務の範囲

質問を賜りました。

 ご意見をお伺いしたい事項がございます。

 破産管財業務で、例えば、不動産を売却し、司法書士や不動産会社に報酬を払う、税務申告を行い、税理士に報酬を支払うことがございます。この場合、破産管財人に法定調書を提出する義務が生ずるものと思われます(所得税法225条等)。

 しかし、所得税法施行規則をみますと、単に当該支払に関する調書だけでなく、合計表を作成し、年中に支払った金額等を書くようになっております。
 そこで、問題がでてまいります。破産管財人は開始決定以降に、年中に支払った司法書士、不動産会社、税理士に対するもののみ合計表に記載し、提出すればよいのか、それとも、開始決定前も含め、破産会社が年中に支払ったもの全部について、法定調書を提出しなければいけないか、です。
 現実的に、開始決定前の支払に関する法定調書を作成することは困難だと思います。法律上、「支払をする者」は「その支払に関する調書」を提出すればよいと書かれておりますので、破産管財人は破産管財人が支払ったものに関する法定調書に限定して、合計表や支払調書を作成すればよろしいのでしょうか。そう考えるとすっきりします。

 それに関連して、破産会社が破産し、破産管財人が従業員を解雇した場合、退職してから1ヶ月以内に源泉徴収票を発行しなければなりません。発行する義務があるのかどうかも議論がありますが、発行しないと従業員が困るので発行するのが通常だと思います。
 そこで発行した場合の源泉徴収票を、更に、税務署と市区町村に交付するべきなのでしょうか。
 上記のように、法定調書は、破産管財人が支払ったものに関する法定調書だけを作成し、提出すればよいと解釈した場合、税務署に提出する義務はなくなるように思われますが、作成しているので、提出しなくてよいという結論も座りが悪いように感じます。

 更には、給与支払報告書及び総括表(地方税法317条の6)を市区町村に提出する必要があるのかどうかも気になっております。
(立替払等を行った場合、立替払を受けた部分は退職所得と見なされますので、厳密に行うと、源泉徴収票を訂正する必要がでてまいりますので同様の問題が生ずるものと理解しております)。

 実務的には、法定調書も作成しない場合が多く、作成した場合も、税務署や市区町村に源泉徴収票や支払調書を参考書類として送っている程度で、合計表や総括表等まで作成していないのではないかと思っています。

 そのあたりはいかがでしょうか。是非、先生のご意見をたまわりたく、宜しくお願い申し上げます。


 たしかに、法定調書の類は、細かくやり始めたらキリが無いですね。
 ご指摘の論点は、細かく突っ込まれたら、「すべて管財人がもろもろ作成提出する必要がありますよねー」となりますので、何とかしたいなあというところです。

 これに関する私の意見は

・管財人が主導権をもって払った分(管財業務上に行った登記や申告に関して、司法書士や税理士に報酬を支払った分)の、支払調書そのものは提出する。
・開始決定前の分の各種報酬についての支払調書は、基本的には無視。(資料が揃っており、かつ、然るべきところから「出しておくれ」と言われたら、シブシブ提出する)
・法定調書の合計表は、これまた基本的には無視。(年間トータルが不明だから出せません、という主張をしてみる)

・退職従業員に対する源泉徴収票の内容について、市区町村への提出はする。(源泉徴収票を作成して本人に交付するなら、同じものをあと2枚作成して、市区町村くらいまでは送っても手間ではないでしょうねという感覚)
・上記源泉徴収票について、税務署に提出する要件を満たすとき(通常の従業員で年末調整しなかったら250万を超えるときには提出する、云々)には、まあ出してもいいかなというところ。
・総括表は無視。(トータル不明だから出せません、という主張)

 という感じです。
 もちろん細かいところを突っ込まれると言い逃れは出来ないのですが、まあ、管財人としても、細かく数字を追えるところとそうでないところもあるわけですし、税務当局側に「課税のために最低限必要なデータ」を提供すれば、あまり文句も言われることはない(経験則)と思っておけばいいのではないでしょうか。

 支払調書や源泉徴収票の単発書類を提出したあとで、税務署から「合計表出しておくれ」とか、市役所から「総括表出しておくれ」とか言われたら、「えーそうはいっても年間トータルの数字なんて、正直、管財人が1円単位で把握できませんよ。すでに提出した個別のモノで何とかご対応いただけませんか?」と頑張ってみるのがいいと思います。
 で、それでも「いやそうはいっても出してもらわないと困る」という主張をされた場合には、シブシブ提出する。という感じです。

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