Home > 破産管財税務 > 破産管財人は税申告する必要があるか?

破産管財人は税申告する必要があるか?

  • 2011-08-08 (月) 23:16

法人が破産手続開始決定となりました。もはや事業を営んでいませんので、もう税務申告をする必要は無いのでしょうか?



法人が破産したといっても、それを以って法人税の申告義務がなくなるとか、そういう規定はありません。
ということで、破産した法人についても税務申告をする必要は、あります。

ということで次に、
 「その申告を誰がすべきか?」
 「破産管財人にその義務(破産法人に対しての税務申告義務)があるかどうか?」
という話になるのですが、この点については、現状「管財人に申告義務がある」というのが一般的見解です。


とはいっても、ものの本を見ますと議論があるようです。

 「そりゃー破産管財人は、破産開始以前の法人の地位を承継するんだから、会社の税務申告を行う必要があるでしょうよ」
という考え方とか、
 「管財人は、破産財団に関する管理処分権があるんだから、その権利の行使として、申告を行うことができるよねー」
という考え方などがあるみたいですね。

で、これらの考え方から、一般的には、破産管財人には税務申告の必要性があるとされています。

ということで、
 「当職って破産管財人なんだけどさー、税務申告ってしないといけないの?」
との旨で税務署やら税理士やらに聞いてみると、
 「しなきゃいけませんね」
との回答になるでしょう。


現在は「申告はもちろんする」というのが常識のようですが、むかーしむかし、時期で言うと消費税が導入される以前の時期は、「まぁほっといてもいいんじゃね」というのが常識だったような話も聞いています。

破産管財をリードする立場である裁判所が、破産法人の税務申告について、管財人側にどう指導しているかということについては色々伝え聞きます。
昔は「申告についてはそれほどマジメに考えなくても」という風潮があるように感じていたのですが、
最近は「管財人としても重要に考えるべき」という旨で指導している、というふうに感じでいます。

(国税当局からかなり突っ込まれたのでしょうか?
それとも、やりようによっては財団を増殖させることが可能であるということが分かったからなのでしょうか)



破産法人については、法人税額が算定されることはほとんどあり得ません。つまり法人税については、計算しても納める税額が出ることはほとんどありません。

* 平成22年10月1日以降に破産手続開始決定となったものについて、多額の債務免除を受けたりすると、納める税金が計算されたりするのですが、これも所定の申告をすれば、税金がかからなくなるのが大半です。


となると、納める税金が無いのであれば、申告をしなくてもいいんじゃないの?という考えが出てきますが、しかしながら申告を行うことで、税金が還付されることもある、というのが実情です。

破産管財人の役割として「破産財団を増やし、かつその減少を防止する」というのがありますので、税申告をすべきか?ということを考える場合・・・

 ・申告をしてもしなくても、財団形成についてはほとんど影響を与えない場合
 →税理士等に申告書作成を依頼するコストを負担してまで、申告する必要性は無い

 ・申告をした場合、財団形成についてプラスの影響を与える場合
 →積極的に申告をし、財団の増殖を図る

と考えるのが、管財人としての正しい選択となるでしょう。


ただ、課税当局(や税理士)側としては、
 「破産管財人は、会社の清算人として、税法上の義務を履行すべき。つまり、いかなる場合でも申告納付を行う必要がある」
と考えるかもしれません。

まぁ確かにそれはそのとおりなんですが、これは破産管財人の立場からいうと、手段と目的が入れ替わっていることになります。

管財人の立場から考えると、
 ・目的:破産財団を増やし、かつその減少を防止する
 ・手段:上記目的を達成するため、税金の還付や減免の可能性があるときは積極的に申告する
となります。

ということでこの点につき、管財人と、課税当局・税理士とで、意見が合わない可能性が出てきます。
そこをどう折り合いつけるかというのは、難しいケースも想定されます。


他に、破産管財人には善管注意義務規定があるので(破産法第85条)、効果の無いコストをかけることにより、債権者から管財人としての責任を追及される可能性もあります。
このことを考えると、「場合によっては申告をしない」というのも止むを得ないかもしれません。


なお消費税については、財団を形成する際の手続で
 ・「課税売上が発生(納める税額が生ずる)」したり、
 ・「貸倒損失の計上により還付税額が発生」したり
するので、財団形成への影響を考慮すると、どちらかというと申告をすべきでしょう。


また、以下のような判例もありますが、この見解はマイナーと思われます。

(平成19年9月12日:福井地裁)
「破産財団は、破産手続開始後に成立した新規法人(人格のない社団)扱いとなり、設立2年間は消費税の納税義務を負わない」

ちなみにこれは、控訴審では「原判決取消」となりました。(平成20年06月16日:名古屋高裁)


【余談】
破産法人の場合は、法人税については納付すべき税額が出ないのが普通です。ということで、

「法人税については、破産法人で、多額の繰越欠損金があり、破産開始直前期も大幅な赤字が見込まれるので、申告してもしなくても、納税額については結果は同じと判断します。よって申告はしません!」

といって税務署と話をつけた人がいました。
ホンマかいなという感想です。
でもまぁ、管財人としての立場からは、真っ当な考え方だと思いますねぇ。

ただこれは、消費税の申告を断りたい人にとっては、あまり使えない話法のような気がします。
(消費税の申告は、黒字であるか赤字であるかはあまり関係ないため)

Home > 破産管財税務 > 破産管財人は税申告する必要があるか?

Search
Feeds
Meta

Return to page top