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固定資産税・償却資産税の減免を確認するためのポイントは?

  • 2017-07-25 (火) 13:14

 過年度の税務申告書に添付されている固定資産税台帳を見ますと、そこに記載されている固定資産の内容と、現在実際に存在する資産の状況とが、異なるように見受けられるときがあります。
 さて、この際に何か注意することがあるのでしょうか。
 なにかに留意すれば、財団増殖につながる(ようなことになる)のでしょうか。


1.固定資産税台帳の記載内容の検証

 一般的な話として、破産法人の(税務申告書に添付しているような)固定資産台帳を眺めていますと「あれっ記載内容が実際と違うね」ということはよくあります。「台帳に載っているこの資産は、実際のところは既に存在していませんよ」というようなケースです。

 存在していない資産に対しては固定資産税がかかることはありませんので、もしこのような資産に対しても固定資産税が課税されているのであれば、「課税対象から外してもらおう」というのがここでの内容です。
 特に、固定資産税の交付要求が届いている場合には、この点の処理が正しく行われているかをチェックする必要があります。
 

2.固定資産税と償却資産税
(1)内容
 固定資産税(償却資産税)とは「それなりの価値がある資産を持っていることに対して課される税金」とお考えください。
 具体的には、土地・家屋・償却資産が対象になります。
 償却資産とは更に具体的にいいますと、構築物・機械装置・船舶・航空機・車両及び運搬具・工具器具備品と定められています。

(対象外のもの)
 んで例外があり、上記種類の資産でも、下記のようなものは申告の対象とはなりません。

・使用可能期間が1年未満または少額(単価10万円未満)のもの
・棚卸資産
・ソフトウェア等の無形固定資産
・自動車税または軽自動車税の対象となる自動車
・書画や骨董

 
(2)どのように課税されるか
 さてまずは、ある資産に対し固定資産税が課税されているか、課される場合にはどういう流れで課税されるか、ということを理解しておく必要があります。
 これについてはまず、当該資産が「登記の対象になっているかどうか」という点で違いがあることにご注意ください。

 ① 登記の対象となる資産
 これは土地や建物などが該当しますが、これらについては、登記が動けばそれに伴って法務局から市区町村にデータが流れ、その結果(半自動的に)課税される、というイメージになります。
 ということで、それほど課税の過不足が問題になることはありません。

 ② 登記の対象とならない資産
 これに対し(ここからがポイントなのですが)、登記の対象とならない資産については、第三者が自動的に課税する側に連絡をすることはありません。
 このような資産は、下記(3)のような納税者側の手続を経て課税当局に情報が送られ、それから課税されることになります。
 具体的な資産としては、機械装置や器具備品、あと、賃借建物内に自社が施した附属設備などが該当します。

(3)償却資産の申告
 ① 申告方法
 前述(2)②のような資産は、取得したらその旨を、売却除却したらその旨を、納税者自らが所定の期間内に自主的に通知することになっています。この作業を「償却資産の申告」と呼んでいます。
 償却資産の申告は、年に1回行います。その年の1月1日現在の対象資産(償却資産)の所有状況を、同年1月31日までに申告します。提出先は市区町村の担当部署です。

 具体的には、毎年12月くらいに「償却資産の申告について」という旨の申告書用紙が届きます。
 そこには、それまでに償却資産として申告している(=課税当局側で認識されている)資産の一覧が記されています。
 ここに記載されている資産の一覧が、前回(=1年前の時点)に申告されている資産を表しています。
(その記載内容を元に)そこから1年間の間に購入や売却・除却等で増減した資産があれば、その旨を報告(申告)することになります。
 これが償却資産の申告です。

 申告は、同封されている所定の様式を使用して行います。
 作業は明細書を記載することで行います。取得や売却除却の裏付け資料(例えば、購入時の明細とか、売却時の資料や除却の際のマニフェストなど)の添付までは求められていません。

 ② 減少資産の申告もれによる過大賦課 
 売却・除却などにより手元には存在しなくなった資産を「減少資産」と呼びますが、この減少資産の申告漏れが生じていると次のような事態になります。

課税部署に登録されている資産データが
→事実と比較して多いままになっている
→その結果、償却資産税の賦課額が過大となっている

 このような状態はよろしくないので、是正しなければなりません。

 破産法人の場合は、破産前に所有資産の大幅な整理(売却・廃棄等)を行っているケースが多く、本来なら適正に減少処理を行う必要があるのですが、申立前後のバタバタで、事務手続が漏れていることが多々有ります。


3.申告が行われていないこともある
 償却資産の申告をする必要がある者は、その年の1月1日現在で、「事業の用に供することができる償却資産を所有している者」です。
 つまり個人事業者や法人が対象になります。(事業を行っていない個人は対象外です)

 また、資産をひとつでも申告したら直ちに固定資産税が課せられるかというとそうでもなく、「同一市区町村内で」150万円という免税点があります。この150万円は「取得価額」ではなく「課税標準額(一定の償却を行ったあとの評価額)」で判定します。
 免税点未満であれば、その個人事業者や法人には、償却資産についての固定資産税は課税されません。その場合には納税通知書が送られません。

 ということで、償却資産の申告は本来、納税者側が毎年行わなければならないものなのですが、「あまり大した資産は持っていないから」というような理由で、設立以来申告をしたことが無い、というケースも散見されます。
 法人税や消費税の申告とは切り離された作業であることも、その原因のひとつでしょう。

 したがって「機械や器具備品があるけれど、償却資産の申告書が存在せず、固定資産税(償却資産)通知書が無い」ということがあり得ますので、その点はご注意ください。


4.除却が行われていない際の手続
(1)確認方法
 さて、過大な固定資産税が課せられていないかの確認方法です。ここでは、固定資産税の課税通知書(または交付要求)が届いている、という前提での話になります。 

 ① まずは、破産法人の引継書類の中に、その年の1月に申告した「償却資産の申告書」「登録資産の一覧明細(種類別明細)」の控えがあるかどうかを確認します。
 法人税申告書には綴られていないことが多いので、そのときには念のため、経理書類や税金関係の書類全般からも探してみてください。

 ② ①で見つからない場合には、固定資産税の課税部署(市区町村の課税担当)に連絡をし、「破産管財人なんですけど、破産法人名義の『固定資産税の種類別明細書』を出してくれませんか」とお願いします。
 自治体により対応の差はありますが、破産者自身宛にであれば、当該明細書はすぐ作成してくれますので、破産管財人としてはそれほど手間がかからずに手配できるでしょう。

 ③ ②で依頼した種類別明細書が手配出来ましたら、そこに記載されている資産一覧と、現実の資産状況とを比較します。
 具体的には「1月1日現在では実際には既に存在していないものの、種類別明細書には記載されたままになっている」という資産の有無をチェックします。
 実際の資産状況と、課税当局での資産把握状況とに、ズレがないかを確認するわけです。 
 ここでズレが無ければ、課税は適正に行われているので特に問題はありません。

(2)誤りがある場合
 ① 実情を反映した申告を行う
 (1)の作業を行った結果、「現実には存在しないが、種類別明細書に記載されている」ような資産がある場合には、正しい内容の申告書を提出します。
 このとき、その年分の申告書をまだ提出していなければ、期限後の申告として提出することになりますし、すでに提出済であれば、修正の申告を行うということになります。
 その結果、市区町村から賦課される固定資産税(償却資産税)の額が、実情を正しく反映することとなります。
 誤った賦課額の交付要求が届いていた場合には、正しい額での訂正が行われることになります。

 これらの申告書を提出する際は、自治体の課税部署に確認しながら進めるほうがいいでしょう。
 所定の様式に書いてくれと言われることもあれば、既に提出済の申告書をコピーして赤字で訂正箇所を上書きして提出してくれと言われることもありますので、ケースバイケースで対応してください。

 ② 裏付け書類の用意
 課税の賦課の減免を求める場合には、通常、その根拠を示す書類の添付が求められます。
 必要に応じ、以下の様な書類の写しを添付するなどして交渉することになります。
 ・当該資産売却時の売買契約書
 ・除却処分時のマニフェスト
 ・破産申立書における、当該資産の譲渡に関する記述部分
 ・当該資産を売却除却した際の会計処理がわかるもの(振替伝票や仕訳帳など)


5.過年度分のチェックをやろう

 これまでに述べてきたような訂正を、「すでに納付済の年分」に対して行うこともあります。過去に遡って行うということです。
 種類別明細書を手配してみたら、すでに除却済であった資産がまだ計上されており、その段階で過去分を訂正したところそれが認められたというようなケースです。
 過年度の賦課の減免が認められれば、滞納公租公課が減額になったり、場合によっては税額の還付が生ずることもあります。

 破産管財人としては、就任直後に、なにはともあれ償却資産の登録内容を確認してみるという作業を行ってみるのもよいかもしれません。
 固定資産台帳に記載されている資産の帳簿価額が大きい場合は、過大賦課の訂正が認められればインパクトも大きくなることがあります。ぜひチェックしてみてください。

 (有姿除却)
 償却資産の課税については、事業の用に供している・供することがことができる資産であることが条件になっています。
 その意味では、未稼働の遊休資産についても(いつでも事業の用に供することができるのであれば)固定資産税が課せられることになります。

 ここで、「破産法人については、すでに事業を営んておらず、また、事業を営む予定もないという趣旨で、破産法人が有する償却資産は、事業の用に供しない、換価または廃棄目的の動産にすぎない」という見解があります。この見解をもとに「資産はまだ換価前で現実に存在はしているものの、事業の用には供していない」という、いわゆる有姿除却処理を行うことにより、課税価格を0として申告を行うわけです。(弁護士業務にまつわる税法の落とし穴(三訂版):大阪弁護士会有新会編:清文社2015年:P201:永島正春弁護士の見解)

 私も同趣旨で申告を行い、課税当局と若干の交渉を行って、当該処理が認められたことがあります。この考え方も必要に応じて検討してみるとよいでしょう。

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