- 2011-08-19 (金) 22:48
管財人報酬からは源泉しないといけないのでしょうか?
自分から自分への報酬のようなもんだし、正直、源泉なんてしたくないんですが。
●確かにそうなんですが、源泉が必要と考えたほうが無難かと思います。
「管財人(破産者の代理人である弁護士)」 と 「報酬を受ける弁護士」 は別人格と考えたほうがいいのではないでしょうか。
管財人報酬は「弁護士に対する報酬」となるので、源泉徴収すべき報酬に該当します。(所得税法第204条1項2号)
論点があるとすれば、破産管財人は所得税法183条に規定する「源泉徴収義務者」に該当するかどうか?という点になるのでしょう。確かにこの点については緒論があるようです。
ただ、現在では国税庁Webにこの点の質疑応答事例が掲載されております。ここでは「源泉必要」となっています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/05/15.htm
●管財人報酬を受ける弁護士としての立場では、「納税資金の資金繰り」のことを考えると、次の理由から、源泉徴収したほうが後々の資金繰りが楽になることも想定されます。
・源泉徴収しなくても、翌年3月の確定申告の際には支払わなければならない。
→まとめて多額の納税を行うよりは、先にある程度納めておいたほうが後々楽になるでしょう。
(翌年3月まで資産運用で増やすぜ!という方には当てはまらないと思いますが・・・)
・源泉徴収しておいたほうが、翌年に予定納税がある場合、その金額が低くなる。
→予定納税基準額の計算をする際に、前年年税額から源泉徴収額がマイナスされ、そのマイナス後の金額が予定納税基準額となるからです。
●ちなみに 「すべての管財人報酬について源泉が必要か」と言われると、必ずしもそうではありません。
「管財人報酬を源泉しなければならない場合」というと、
(1) 事業者(源泉徴収義務者である事業者)が、
(2) 弁護士に報酬を支払った場合
ということになります。
で、管財の場合には、
・事業者の代理人である破産管財人が
・弁護士へ報酬を支払う場合に、
源泉徴収義務が発生する、ということになるのですが、
そもそもの破産者が(1)に該当しない場合だと(例:単なるサラリーマン)、その破産者(の管財人)が、弁護士に報酬を支払ったとしても、その報酬は源泉の対象にならない、と考えていいでしょう。
で、破産者が源泉徴収義務者であるか(従前に源泉徴収義務者であったか)否かということについては、
具体的には、その破産者が破産以前に
・法人であった
・個人事業者であり、人を雇って、支払う給与から源泉をしていた
というようなケースが想定されます。
もっと具体的にいうと、その破産者が従前に、
・税務署にて納税者番号が付与されており、
・源泉所得税の納付書が作成できる人、
ということになります。
(税務署で「源泉徴収義務者」として登録されていないと、源泉所得税の納付書を作成するのが難しい、というのが現状です)
ということで、破産者が法人の場合だと、管財人報酬は源泉の対象となりますが、破産者が個人の場合には必ずしもそうではなく、ケースバイケースということになります。