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書籍Q&A(管財税務) Archive
破産決定日以後の均等割
- 2015-10-21 (水)
- Q&A | 書籍Q&A(管財税務) | 管財税務
質問を賜りました。(久々の更新です)
清算事業年度の均等割について疑問があります。
書籍P.26以降~で、”破産手続開始決定までは均等割が発生するがそれ以後は発生しないので、清算事業年度以降は申告不要” との旨で記述がみられますが、市区町村その他のwebを見ると、清算事業年度中であっても均等割を免除するというような記載はみられません。
その他税理士さんやら弁護士さんやらのwebを見ても、結局市区町村の判断なので直接お問い合わせください、というようなオチとなっております。
均等割はかからないという意味は、実務上無視しても影響がない、という意味なのか、それとも何か法的な根拠があるのでしょうか。
結論から言うと、前者です。実務上無視して構わない、という考えです。
とはいってもまったく根拠の無いところで主張してもアレなので、若干の補足を申しますと、「均等割の課税根拠となる『事務所または事業所』というのは、破産してしまった後はもはや存在しないも同然でしょう」という考え方によるものです。
破産手続中であっても、登記上で本店は残ることになります。この点を以って「破産手続中でも均等割はかかる」というのも正解かとは思います。
ただ、現実を考えますと、破産以後、残務処理というのは破産管財人の事務所で行われるのが常であり、従前の事務所または事業所は、退去や処分を待っているだけのものになります。従ってそこはもはや形骸化したハコモノになっているに過ぎませんので、そこに課税するのは意味が無いんじゃないの、という想いがあります。
経験則としては、破産開始になった時点で事業所廃止の届出を提出し、そこで働いている人も居らず(従業員は全員解雇している)、そこで常時作業している人が居ない、という状態であることを申出すれば、地方税の当局からはそれ以上の指摘は無いのが普通である。…というところになります。
(追記:2016/9/29)
この件の趣旨は、法人が破産するときの流れとして
(1) 通常どおりフンフンと事業を営む
(2) 廃業・事業廃止となり、従業員を全員解雇する
(3) 破産申立への手続に入る
(4) 破産手続開始決定
というふうになるわけですが、このとき、(4)以降は均等割がかかりませんよねということです。
で、経験則として、均等割がかかるのは(2)までですよね、という旨でも、認められています。
破産後に受任した段階で、この旨で異動届(詳細後述)を提出し、その後、地方税の確定申告を行うときのカウント月数を、期首から(2)の日までとして行うというやり方です。
異動届は
・異動事項: 事業所廃止 ●月✕日 ←(2)の日)
・添付書類: 報告書(法人用)のコピー (事業廃止日や従業員解雇日が記載されているページ)
という旨で作成しています。
根拠があって絶対認められる!とまでは言い切れませんが、参考になさってみてください。
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管財人報酬の相手勘定科目
- 2014-06-14 (土)
- Q&A | 書籍Q&A(管財税務)
質問を賜りました。
法律事務所に勤務する事務職員です。
書籍を拝読しまして、管財人報酬の経費扱いは理解したのですが、さて相手勘定科目は何?と悩んでおります。
清算確定申告書を作成する段階では、現金(預金)で支払は完了しておらず、未払費用となるのでしょうか。
さらに、管財人報酬を支払った時点で、未払費用/現金(預金)若しくは無仕訳で良いのでしょうか。
大変初歩的だと存じますが、何卒宜しくご教授願います。
ご質問の相手勘定科目ですが、未払費用でOKです。未払金でもいいかもしれませんが、要は未払計上します。
で、管財人報酬を支払った時点で、ご指摘の通り、未払費用/現預金 となります。
ただ、その支払タイミングが「最後の申告(換価完了し残余財産が確定した時点での申告)が終わった後」になることが多いと思いますが、その場合には無仕訳になります。したくても出来ない、というところです。
最後の申告のB/Sの負債の部に未払費用が計上された状態で、決算および申告となり、経理処理は終了。後は残念ながら何もしない(もう申告しないので)、という流れです。
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課税売上ゼロの場合の管財人報酬にかかる消費税還付NGの根拠
- 2013-10-27 (日)
- Q&A | 書籍Q&A(管財税務) | 管財税務
質問を賜りました。
会計事務所に勤務している者です。書籍「破産管財の税務と手続」の内容についてその中で一点疑問に思ったところが有ります。
(P.173)
管財人報酬を支払ったからといって、直ちにそれに係る消費税額が還付になるかというと、必ずしもそうとは言い切れません。
消費税法上、仕入税額控除の計算については所定の方法がありまして(消費税法第30条)、管財人報酬が確定した課税期間において、何らかの課税売上が生じていなければ、この管財人報酬に係る消費税について、仕入税額控除となる額は算出されないような規定になっているからなのです。
この規定を適用すようとするならば、管財人報酬額が確定する課税期間に、破産法人として何か課税売上が発生する必要があります。具体的には、棚卸資産の売却とかになるでしょう。
ただ、資産の売却タイミングを調整できればいいのですが、実際うまくいくかどうかは難しいところです。
上記において課税売上がないと管財人報酬に係る消費税は還付されないとありますが、管財人報酬が確定した課税期間が課税事業者であれば、課税売上がなく、差引税額がなくても、消費税法第46条により、管財人報酬に係る消費税について任意的還付申告ができるのではないでしょうか。
お手数をお掛け致しますが、ご回答いただければ幸いです。
ご質問の件ですが、判断に迷う点であるのは確かです。
結論を先にいうと、「何らかの課税売上が生じないと、還付税額が発生しない」という理由は、「仕入税額控除額を計算する際、管財人報酬が、個別対応方式においては『共通対応仕入』に属するから」というところにあります。
控除対象仕入税額は、「全額控除方式」「個別対応方式」「一括比例配分方式」の、いずれかの方法で計算することになりますが、課税売上がゼロの場合には、課税売上割合が(ゼロとなり)95%を超えることはありませんので、「全額控除方式」は適用できません。
ということで、課税売上割合が95%未満である場合に選択する、「個別対応方式」か「一括比例配分方式」のいずれかで計算することになります。
ここで、一括比例配分方式で計算するとしますと、課税売上割合がゼロなので、控除対象仕入税額がゼロとして計算されます。
で、個別対応方式で計算するとしますと、ここで問題になるのが、「管財人報酬が、どの種類の仕入に該当するか?」というところです。つまり、「課税売上対応仕入」「非課税売上対応仕入」「共通対応仕入」のどれに当てはまるの?ということです。
これについては、管財人報酬は弁護士報酬である以上、基本通達11-2-12にあるように「共通対応仕入」に該当すると判断するのが一般的です。
実際に、管財人の現実的業務を考えますと、資産の換価で、土地や建物や有価証券を処分したりするわけですから、その業務で発生する消費税法上の取引は、課税売上であったり非課税売上であったりします。つまり管財人報酬は「共通対応仕入」に該当する、と判断するのが賢明です。
となりますと、個別対応方式での計算においては、共通対応仕入に該当する部分の仕入については、課税売上割合がゼロである場合には、控除対象仕入税額が計算されるしくみにはなっていません(ゼロになる)ので、個別対応方式で計算しても、控除対象仕入税額はゼロ、と判断することになります。
以上より、「消費税法第46条により、申告書の提出は可能だが、計算をしても、還付税額は出てこない」ということになります。
(何らかの事情により、『この管財人報酬は、課税対応仕入に該当するものだ!』と主張できるのであれば、還付税額が出てくることにはなりますです)
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